フリンジは、フェスティバルのなかでも、その時代に生まれつつある表現や新しい動きを映し出す場所です。Cabicuri Fringeでは、現代音楽やクラシック音楽を軸にするこれまでのコンサートのあり方を少し違った角度から捉え直す二つの企画を紹介します。
Cabinet of Curiositiesは、現代音楽やクラシック音楽を、現代社会との関係のなかで問い直される「現在形の芸術」として捉え、その可能性を探ってきました。Cabicuri Fringeは、そのなかでも公募というかたちを通して、私たち自身があらかじめプログラムするのではなく、いまどのような発想や実践が生まれているのかに出会うためのプログラムです。
2027年は、さまざまなシーンで活動する音楽家、アーティスト、企画者から38の企画が寄せられ、そのなかから2企画を選出しました。採択された二組は、Cabinet of Curiositiesおよび伴走アーティストとの対話を通して、Cabinet of Curiosities 2027 Alternatives in New Music の一プログラムとして、二つの異なる実践を紹介します。
チェリスト・作曲家の中川裕貴が、自作弓による演奏実践をもとに、弓、身体、楽器、聴取の関係を問い直す作品です。参加者と弓を制作し、そこから生まれた音を録音・編集して、中川自身のチェロ演奏と組み合わせたコンサートをつくります(予定)。
1986 年生まれ、関西を中心に活動する音楽家/演奏家。チェロを独学で学び、そこから独自 の作曲、演奏活動を行う。人間の「声」に最も近いと言われる「チェロ」という楽器を使用 しながら、同時にチェロを打楽器のように使用する特殊奏法や自作の弓を使用した演奏を行 う。音楽以外の表現形式との交流も⾧く、様々な団体やアーティストへの音楽提供や共同パ フォーマンスも継続して行っている。 2022 年より日野浩志郎との DUO プロジェクト「KAKUHAN」がスタート。また 2025 年に はユニット「Saraudon」のメンバーとして、UK のレーベル Modern Love よりアルバムをリ リース。2026 年には初となるソロアルバム「Stills and Remains」がオランダのレーベル Unheard of Hope からリリースされる。近年のコンサート活動として「アウト、セーフ、フ レーム(2020)」@ロームシアター京都サウスホール、「弭(ゆはず)(2024)」@ロームシアタ ー京都ノースホールなどがある。令和6年度京都市芸術文化特別奨励者。
自作楽曲、歌唱、映像、テキスト、身体運動、演技を一人の身体に集約して構成するオートフィクション型音楽劇。ライブ、演劇、コンサート、パフォーマンスのいずれにも完全には属さない形式によって、音楽を「演奏される作品」ではなく、「持続する身体と時間」として再定義することを試みます(予定)。
音楽、映像、パフォーマンスを横断するアーティスト。 東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティス専攻(GAP)修了。国立音楽大学演奏・創作 学科コンピュータ音楽専修卒業。 オートフィクションを基盤に、ポップミュージック、舞台芸術、映像表現、身体パフォーマンスを横断する 作品制作を行う。近年は歌唱、映像、身体運動を統合した長時間パフォーマンス作品の制作を中心に活動し ている。
Photo ©滑川由記